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企業内に蓄積してきた生産データや顧客データ、売上データといったさまざまなデータを一元管理して示唆を得ようという動きが活発になってきています。こうしたデータから得た示唆を経営に役立てることをビジネスインテリジェンス(BI)といいます。

実際にBIを行う際は、データベースやデータ分析の専門スキルを持っていない人でも、さまざまなところに散らばっているデータを一元化して集計・分析し、活用できる環境を実現するためにBIツールは必須といっても過言ではありません。

BIツールを未導入の企業では、データ分析のためにExcelを使っているところも多いでしょう。ただ、Excelはあくまでも表計算ソフトなので、データ分析に特化したBIツールであればできるはずのさまざまな活用が行えないこともあります。

本コラムでは、BIツールとExcelでのデータ分析の違いについて解説します。

BIツールにできてExcelにできないこと

冒頭でもお伝えしましたが、データの集計やグラフ作成などに頻用されてきたExcelは表計算ソフトであり、データ分析に特化しているものではありません。そのため、BIツールでは可能なことがExcelでは不可能ということがあります。

以下で、その一例をご紹介します。

大容量のデータの分析が行えない

Excelの1ワークシート上で扱えるデータの上限は、Excel2010で104万8,576行×1万6,384列までとなっており、それ以上のデータを集計したり分析したりすることはできません。
扱える範囲内であっても、データ量が増えるとファイルを開いたり保存する際に時間がかかったりエラーメッセージが表示されるなど、動作が不安定になりがちです。

一方、BIツールはビッグデータ活用を想定しているため、大容量のデータも高速で処理できます。

異なる種類・形式のデータを統合できない

Excelが扱えるデータ形式はワークシート(スプレッドシート)やCSVファイルだけなので、その他の形式のデータを分析したければ、一度、CSV形式でエクスポートしてから取り込む必要があります。

しかし、BIツールならさまざまな種類のデータベース、ファイル形式を加工せずにツール上で統合し、分析することが可能です。

権限管理が行えない

Excelはファイル上で細かい権限を設定することができません。パスワードをかけたり、保存先のファイルサーバで権限設定したり、Excel Onlineで閲覧や編集を許可したりといったことは可能ですが、ユーザーごとの権限を細かく設定したり、権限を一元管理することはできません。

BIツールでは、ユーザーごとに利用できる機能を制限するなど、細かい権限管理が可能です。

ほかにも、Excelだとデータが各所に分散されたままで一元管理できない、タイムラグが生じリアルタイム性を保持できないといった点が挙げられます。

BIツールで可能な分析一覧

データ分析においてExcelよりも優位性のあるBIツールですが、どんな分析ができるのでしょうか?BIツールで可能な分析手法をご紹介します。

【分析1】OLAP分析(多次元データ分析)

OLAP分析(Online Analytical Processing/オンライン分析処理)とは、多次元データを構成して複雑な分析を素早く行う手法で、売上報告、市場分析、経営報告、ビジネス業績管理(BPM)、予算作成、計画作成、財務諸表作成などに利用されます。

OLAP分析では、キューブ(cube)とよばれるデータを立体的に連携しやすくした形式でデータを保存することにより、膨大なデータを短時間で処理しています。

【分析2】ABC分析(重点分析)

ABC分析は重点分析ともよばれ、商品・製品、仕掛品、部品・原材料などの全体をA(重要管理品目)、B(中程度管理品目)、C(一般管理品目)の重要度ごとに仕分けして効率的に管理しようとする手法で、顧客管理や販売管理、在庫管理などに利用されます。

たくさんある指標のなかから重視するポイントを決めて、ABCの重み付けを行い、重要度とパーセンテージからABCそれぞれのどこに注力すべきかを判断します。

【分析3】予実分析

予実分析とは、予算(目標)と実績を比較することで、今後の戦略を構築するための分析手法です。達成率だけを見るのではなく、なぜその数値になっているのかを分析し、今後何をすれば良いのかを判断するために行います。

現在とっている施策や方向性が正しいのかどうか、軌道修正の必要はないかなど、予算と実績の乖離をチェックできます。

Excelでも分析はできる

ここまで、Excelでのデータ分析を否定するようなことを書いてきましたが、Excelでも分析はできますし、条件によってはBIツールよりもExcelの方が向いていることもあります。

Excelでできる分析

前章でご紹介した「ABC分析」「予実分析」のほか、R(Recency:最新購買日)、F(Frequency:平均購買頻度)、M(Monetary:累計購買金額)の3つの指標で顧客を分析する「RFM分析」や、二つのデータの関係の強さを分析する「相関分析」もExcelで行えます。

Excelの関数機能やグラフ作成機能のほか、ピボットテーブル機能や予測シート機能を活用することで、ある程度まで踏み込んだ分析が可能です。

Excelの方が向いているケース

データ分析を行う際、条件によってはBIツールよりもExcelの方が向いていることもあります。
具体的には、扱うテータの項目が少なく、ボリュームが小さかったり、今後、データ更新の可能性が低いデータを分析する場合などです。

このように、Excelでもデータ分析は可能です。
ただ、Excelでデータ集計や分析を行うためには、関数やピボットテーブルなどを組み合わせて複雑な作業をする必要があり、手間と時間がかかります。BIツールを用いれば、手間なくスピーディにリアルタイムなデータを表示したり、集計・分析したりが可能です。

まとめ

従来のデータ分析や集計に重用されてきたExcelと、ビッグデータの分析に適したBIツールを比較してきました。
自部門のみのデータを分析したい場合など、小規模の分析ならExcelで十分でしょうが、社内の複数データと統合して分析したり、社外のデータを取り込んで活用したい場合などでは、Excelでは扱い切れない可能性が高いです。
膨大な量のデータを分析するならBIツールは必須といえるでしょう。

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