2億レコードもの大規模分析でも快適なレスポンスを実現。
グループ全体のシェアード化に向けた 強力な分析基盤
「データスタジオ@WEB」

ミサワホーム株式会社 様

ミサワホーム株式会社 様は「データスタジオ@WEB」を導入されました。導入された背景、選定のポイント、現在の運用と評価、今後の展望について伺いましたのでご紹介します。

業種 建設業
導入製品
ミサワホーム株式会社 様

日本を代表する大手ハウスメーカーであるミサワホーム株式会社が、失われた10年の遅れを取り戻すべくシステム刷新を計画。 クラウド上に展開する強力なBIツールとして「データスタジオ@WEB」が採用され、グループ全体の強固な分析基盤として活用されている。

ミサワホーム株式会社
企画管理本部
情報システム部
システム基盤課長
岡村 好晃 氏

ミサワホーム株式会社
企画管理本部
情報システム部
システム基盤課 主任
掛川 晃央 氏

自社に合うよう使い方を工夫し、さまざまな成果をあげているところに注目です!

導入の背景

失われた10年の遅れを取り戻す システム刷新プロジェクトがスタート

1967年に創立したミサワホーム株式会社は、住宅業界では唯一24年連続でグッドデザイン賞を受賞するなどデザイン性の高い商品を数多く生み出している大手ハウスメーカーだ。耐震性の高さに加えて高度な安全性能を誇る制震装置「MGEO」の開発によって安全安心を提供しながら、日本伝統の知恵を活かした大収納空間「蔵」を現代の住まいに取り入れるなど、これまでにない発想の住まいづくりを提案しており、暮らしのコンセプトに合わせて開発された様々な商品が多くの人々から支持されている。戸建住宅事業を中核に据え、戸建分譲事業やリフォーム事業、介護・福祉事業、マンション事業、ライフサポート事業など、多角的に事業を展開している状況だ。

そんな同社に大きな転機が訪れたのが2011年のこと。長引く不況の影響から2003年以降、新たなシステム投資を行うことができなかった同社が、“失われた10年”の遅れを取り戻すためのシステム刷新プロジェクトをスタートさせることになった。

「会計システムをはじめとした基幹系システムからグループウェアなどの情報系システムまで大きなシステムをすべてクラウド上に展開し、グループ会社40社でシェアード化できるシステム構築を目指しました。この中の1つにデータ分析のための基盤作りが含まれていたのです」と語るのは企画管理本部 情報システム部 システム基盤課長 岡村 好晃氏だ。

選定ポイント

国産ならではの手厚いサポートと 大規模向けのラインセンスが魅力に

これまではサイロ化されたシステムごとにデータが散在し、データ連携ツールで個別にアクセスする運用が取られていた。しかし、グループ会社全体でシェアード化を図る上では、ガバナンス強化も含めて“誰がいつ何を見たのか”といった操作ログの利用実態の把握は急務だったと同課 主任 掛川 晃央氏は当時の課題を吐露する。また、システム統合が行われることで、あらゆるデータが同社に集まってくる。多角経営に向けた人材の再配置が行われる中、少ない人員でも膨大なデータが扱える強力なBIツールが必要だったと岡村氏は力説する。

そこで新たな分析基盤を選定する過程で同社の目に留まったのがデータスタジオ@WEBだった。「国内企業から直接サポートが受けられる国産パッケージという点は安心材料の1つ」と掛川氏。これまで自前主義を貫いてきた同社にとって、パッケージに対する手厚いサポートは大きなポイントだったという。「設計から構築をはじめ、遠隔から運用保守や正常稼動の監視を行ってくれる「ReSM(Remote System Management service)など、すべてオールインワンでサポートできる点も高く評価しました」(岡村氏)。

また、シェアード化によって利用者数が増えていくことが想定されており、サーバライセンスで活用できる点も選定に大きく影響したと掛川氏。「営業部門も含めると最終的には9000人あまりが利用する予定です。全員がパワーユーザになるわけではありませんが、ライセンスを気にすることなく利用できる環境が必要不可欠でした」。

他にも、膨大なデータを取り扱うがゆえにデータ抽出の速度は重要なポイントだった。「分析ツールはレスポンスが速くないと意味がありません」と掛川氏が語る通り、事前検証でその効果を実感することができたという。また、複数企業が共同利用するシステムだけに、詳細なアクセス権の設定が可能かどうかも重要なポイントとなっており、「テーブルの項目ごとまでアクセス権が効きます。使うかどうかは別にして、そこまでできないと将来的な拡張性は見込めません」と掛川氏。これらの要件を満たしたことで、データスタジオ@WEBが同社の分析基盤に採用されることになる。

現在の運用と評価

短期導入でデータを高速抽出、 現場からの評判は上々

現在は、ディーラー業務や会計業務などAWS(Amazon Web Services)やプライベートクラウド上に展開している各業務システムから様々なデータをETLツールによって抽出、変換、加工した上でDWHに格納し、データスタジオ@WEBを用いてデータの分析を行っている。「データ分析用の基盤はすべてAWS上で稼働しています。AWSでの稼働実績があったことも選んだ理由の1つ」と岡村氏。2013年3月より分析基盤の要件定義に着手し、設計やインフラ構築やデータ連携なども含めておよそ5ヶ月でカットオーバーすることに成功している。「これだけの短い期間で稼働できるツールという意味で完成度の高い製品」と掛川氏は評価する。外部とのデータ連携部分でのアドオンはあったものの、それ以外は標準パッケージのままだ。

現状の活用シーンとしては、同社の各部門の予算担当者およそ80名が部門別の予実管理のためのデータ作成に活用している。また、「会計システムにないFB関連の入出金データ関連帳票をBIツールで作成し、シェアード化が行われている会社に対して公開したり、ディーラー業務と会計業務双方のシステムからデータを抽出して資金繰り表を作成したりもしています」(掛川氏)。今までは様々なところからデータを探し、Excelのマクロに取り込むなどしていたが、現在は誰でもBIツールで状況確認できるようになったと高く評価している。これらの使い方については、わずか1時間程度の集合研修を行っただけで、マニュアルと電話による問い合わせだけで十分活用できているという。

また、これまでは資材メーカおよそ200社に対して紙による支払案内書や電話による支払明細の問い合わせを受け付けていたが、データスタジオ@WEBを画面に埋め込むことで請求明細が簡単に照会できるような仕組みも作り上げている。紙のコスト削減はもちろん、電話対応の時間など業務の効率化に大きく貢献していると岡村氏は満足げだ。

実際の評価については、「データ抽出のレスポンスですが、資材情報も含めて20年分の受発注データおよそ2億レコードから品番や発注日を抽出すると、以前は数十分かかっていたのがわずか数秒で完了。現場から高い評価を受けています」と掛川氏。また、抽出されたデータからドリルダウンして数字の中身が具体的に確認できる機能は現場でも好評だという。

今後の展望

キーユーザを育てながら経営に 役立つような情報提供を目指す

今後について掛川氏は、「受発注業務などでの活用や不具合対応用のデータを一元管理するなど、活用用途を広げていく予定です」と語る。現状は定型分析として用意されたものなど限定的な活用にとどまっているが、自由検索から様々な条件を設定して定型分析のフォーマットを作っていくなど、活用の幅を広げてもらう活動をしていくという。「そのためには、部署ごとにキーユーザを育てていきたい」と掛川氏。

また、現在は“資料削減プロジェクト”と呼ばれる組織体が立ち上がっており、各ディーラーからの報告業務をBIツールの中から拾い上げるようにすることで、業務の効率化を推し進めていきたい考えだ。「同じ情報をグループ会社に二重報告してもらっている部分もあります。属人化している報告業務の基準を統一する意味でも、BIツールの中から情報を抽出し、省力化に努めていきたい」と語っている。

さらに、業務効率化のみならず、集まった情報の中から見込み情報や経営に活かせる情報が提供できるような基盤にも育てていきたいと岡村氏。「グループ全体でどの部分にコストダウンの余地があるのか、ターゲット層に対して商品がマッチしているのか、将来どういった商品を開発するべきなのかといった情報をフィードバックできるような基盤に育てていきたい」と語っていただいた。